SGLT2阻害薬を服用すると尿路感染症のリスクは増えますか?
SGLT2阻害薬が発売されて数年がたちますが、実際の現場でこの薬が原因の尿路感染症の症例になかなか出会うことがありません。
確かにRMPなどの資料を見ても重大なリスク特定には「尿路感染症」と記載がありますし、作用機序的にもリスクがあるのは理解できます。
はたして実臨床ではどのくらいリスクがあるのか?気になったので論文を読むことにしました。
Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors and Urinary Tract Infections: A Propensity Score-matched Population-based Cohort Study
PMID:35513988
論文のPECOは?
2型糖尿病患者、18歳以上、商業保険加入者(アメリカ)
SGLT2阻害薬の処方
DPP4阻害薬およびGLP-1製剤
重度の尿路感染症の発症(入院含む)
論文のチェックポイント
➡ コホート研究のため、ランダム化はされていない。
➡ 2年半
➡ 真のアウトカム
結果はどうだったか?

考察
2つのコホートを傾向スコアマッチングした結果、他の製剤(DPP4阻害薬、GLP-1製剤)と比較して重度の尿路感染症の発生率はほとんど変わらない結果に。
制限として、ランダム化されてないこと、商業保険加入者に限定されていたこと、交絡についての記載がないことが挙げられる。
今までは糖尿病患者に用いられてきたSGLT2阻害薬ですが、今後心不全患者にも使われるようになり、処方数の増加が予想される。
対策としては、RMP資材を確認し、最新の情報にアップデートすることや、水分摂取、こまめな洗浄など基本的注意を継続することが大切だと思いました。