ヒドロモルフォンはがん性疼痛にたいして新たな選択肢になりますか?

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ヒドロモルフォンとオキシコドンの速放製剤の比較(非劣性試験)

久しぶりの更新です。先日、東北緩和医療研究会に参加して、緩和ケアに対しての論文が気になり、いろいろ探してみたところ、興味深い論文が見つかったので読んでみることにしました。

実際はすでに医療現場ではつかわれている薬剤ですので、今更感はあるかもしれませんが、お付き合いいただけると幸いです。

A randomized, double-blind, non-inferiority study of hydromorphone hydrochloride immediate-release tablets versus oxycodone hydrochloride immediate-release powder for cancer pain: efficacy and safety in Japanese cancer patients.

PMID:29659913

論文のPECOは?

  • 日本国内における50施設、183名のがん患者(オピオイド投与前)

 

  • ヒドロモルフォン速放剤 1日4回

 

  • オキシコドン速放剤 1日4回

 

  • ベースラインからのVAS(100mm)の変化(非劣性マージンは10mm)

 

論文のチェックポイント

ランダム化されているか?

➡ ランダム化の記載あり

盲検化されているか?

➡ 2重盲検、ダブルダミーで行われている

ITT解析されているか?

➡ 非劣性試験のため、FAS解析

追跡期間は?

➡ 5日間?

真のアウトカムか?

➡ 真のアウトカムと言える

補足

➡ 吐き気、便秘対策として酸化mg、ノバミン®を用意

 結果はどうだったか?

  ヒドロモルフォン群(n=92) オキシコドン群(n=89)
VAS(ベースライン)(mm) 54.8 53.9
VAS(試験完了時)(mm) 24.7 27.9
(差)(mm) -30 -26
95%Cl

(-9.8、3.1)

p=0.305


考察

95%Clの上限が非劣性マージンの10mmを超えなかったため、ヒドロモルフォンの非劣性が示された。

有害事象については、ややヒドロモルフォン群で多かったものの、群間に有意差はありませんでした。

この試験では、ファーストラインとしてのオピオイド使用のため、すでにオピオイドを導入している症例ではまだ研究がされていません。また、高容量での安全性や忍容性も確認していないので、慎重な使用が必要です。

私自身もまだこの薬剤の処方はうけておらず、まだ勉強不足なところはありますが、メリットもありそうなのでいろいろ論文を読んでみようと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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