ピロリ菌の除菌にスタチンを追加すると除菌率があがりますか?

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ピロリ菌の除菌にスタチン追加?

スタチンは脂質代謝異常の薬じゃないの?「あなた馬鹿なの?死ぬの?」
そういった声が聞こえてくる気がしますが、医薬品にはメカニズムでは解明できない不思議な効果があったりします。今回はそれを取り上げてみようと思います。

Randomised clinical trial: simvastatin as adjuvant therapy improves significantly the Helicobacter pylori eradication rate – a placebo-controlled study

PMID:22646167

論文のPECOは?

  • ピロリ菌に感染した患者113名

 

  • 3剤併用+シンバスタチン20mg 1日2回(58名)

 

  • :3剤併用+プラセボ(55名)

 

  • :ピロリ菌の除菌率

 

論文のチェックポイント

ランダム化されているか?

➡ タイトルにランダム化の記載あり

盲検化されているか?

➡ 二重盲検

ITT解析されているか?

➡ ITT解析の記載あり

追跡期間は?

➡ 4週間?

真のアウトカムか?

➡ ピロリ菌の除菌は真のアウトカムと言えるか、微妙。

 結果はどうだったか?

ピロリ菌の除菌率
シンバスタチン群・・・86%(95%CI:78-92)
プラセボ群・・・69%(95%CI:64-74)
P<0.04

副作用の頻度に関しては両群で有意差なし


考察

ちなみに試験中の3剤併用の内容は、クラリスロマイシン500mg、アモキシシリン1000mg、オメプラゾール20mg、この3剤を1日2回、1週間になります。(すこし日本より多いですかね)
文献の考察にもあるように、何故スタチンで除菌率が上昇するのかは謎なようです。
(The mechanism by which statins improve the eradication rate of H. pylori remains unknown.)

現時点でもちろんスタチンの投与は保険適応ではないので使用はできませんが、この併用はどうなのでしょうかね?
この試験でプラセボと副作用が有意差がないといっても、クラリスロマイシンとの併用による横紋筋融解症のリスクを考えると、あえて併用する必要はないのではないかなと思いますが、いかがでしょうか?
ご意見お待ちしております。

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2 件のコメント

  1. 相互作用的に血中濃度が上がるのだろうか、なんて思いましたが、クラリスロマイシンは用量400mgに減らしても800mgと除菌率変わらない(PMID:11683930)なんて話もありますし、本当に不思議ですね。

    • コメントありがとうございます。
      返信おくれてすいません。
      クラリスロマイシンの投与量でも除菌率が変わらないなんていうデータもあるんですね。
      ついつい投与量を増やす=効果も強く出るという認識をしてしまいがちですが、そこを疑ったほうがいいのかもしれないですね。

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