バロキサビルは健康な成人のインフルエンザ症状を改善させる?~医学論文の活かし方 day1~

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1日1論文、30日で、
薬剤師としてレベルアップ!

去年発売された書籍ですね。2020年12月30日にTwitter上で盛り上がった「読めよ薬剤師2020企画」

多くの薬剤師さんがおすすめの書籍でした。2021年は自分のレベルアップもかねてこの本に掲載されている論文をひとつずつご紹介していきたいと思います。

Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents

PMID:30184455

論文のPECOは?

P(どんな患者に?)

合併症のないインフルエンザ患者(1064人、12~64歳)

E(どんな介入を)

バロキサビルを投与(体重に応じて40mg、80mgを選択)

C(何と比較して)

プラセボとオセルタミビルを投与

O(どのように評価した?)

インフルエンザ様症状の有病期間

論文のチェックポイント

ランダム化されているか?

➡ されている

盲検化されているか?

➡ double-blindの記載あり(アブストのMETHODS内)

ITT解析されているか?

➡ されている

追跡期間は?

➡ 14日

真のアウトカムか?

➡ 熱が下がるなどの体に感じる症状の緩和なので、真のアウトカムでいいと思う。

 結果はどうだったか?

インフルエンザ様症状の有病期間(p=0.001)

プラセボ群:80.2時間(95%CI:72.6~87.1)

バロキサビル群:53.7時間(95%CI:49.5~58.5)

*バロキサビル群の症状緩和時間については、オセルタミビル群と同等であった。また、ウイルス量の低下についてはバロキサビル群のほうが優位に低下していた。

考察

バロキサビルはオセルタミビルと同じようにインフルエンザ様症状の有病期間を短縮できる可能性はある。服用期間も単回投与で終わるというメリットはありそう。ただし、服薬指導の現場においては医師やメディアなどから「1回飲めば大丈夫」という情報だけが独り歩きしてしまうことも多い。

薬剤師が情報提供する際には、服用しない場合と比較しても1日程度つらい症状が短くなるということ、そして何よりもインフルエンザにり患した場合は「きちんと休むこと」を伝えないといけないとこの論文を読んで再認識した。

論文としてはチェックする項目はアブストラクトに集約され、とても読みやすくなっている。抄読会のお題にしやすいと思う。RCTをチェックするときに参考になるチェックシートがあるので紹介します。https://aheadmap.or.jp/download/117/

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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